好奇

何もする予定はない。

昼頃までだらだらと過ごす。

正午過ぎ、篭ってても気が滅入るんで散歩に出る。

行くあてもなく、取り敢えず駅まで歩く。

定期券の範囲を超えて、終点まで車窓をぼんやり眺める。

先頭車両だったが、鉄道オタクみたいな雰囲気の中年男が、窓にかぶりつきで占拠していた。

工場の作業着のような色合いの服を着て、時刻表や旅の資料みたいな冊子が大量に入ったスーパーのビニール袋をいくつか運転席の扉に立て掛けている。

佇まいもさることながら、アンモニア臭のような酸っぱい臭いを放っていて強烈な印象を受けた。

嫌な臭いだからその場を離れることができたが、自分の中の悪意みたいな部分が反応し、その男を暫くちらちらと見遣った。

きっと実生活では周囲と円滑なコミュニケーションをとることが難しいに違いない。

自分の体臭は自分では気付きにくいが、人前に出るには、最低限は不快感は与えない身だしなみは整えなければならないなと、当然のことだが思った次第。